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笹幸恵
2016.3.14 06:33

5年目の3・11

東日本大震災から5年。

取材もあり、昨日まで仙台から気仙沼、陸前高田を

回ってきました。

                 

宿泊した宿の前には、震災で壊滅したJR気仙沼線の

線路が横たわっていました。

 

復旧の見込みが立たず、現在ではBRTとよばれる

高速バスが人々の移動手段になっています。

 

震災後、大規模な火災に見舞われた気仙沼湾沿岸部です。 

 


魚市場付近は、震災で被害に遭ったまま

取り残された建物がちらほら残っています。

 

 

このあたりは工事中のところが多く、

復興は今なお「道半ば」。

土地のかさ上げ工事をしているのです。 


10メートルを超える防潮堤を作って、人工的に土地をかさ上げする。
それしか方法はないのでしょうか。
理論上は、それで津波の被害を防げることになっていますが、
自然の脅威に対して人間がいかに無力であるか、
本当はそこを出発点にしなければ、危機意識も生まれ得ません。
海が見えないようにして、そこに本当にふるさとが再生されるのでしょうか。

陸前高田にある「奇跡の一本松」にも足を運びました。

地域一帯は工事中ですが、ちゃんと観光用に道が作られ、

私が訪れたときも絶え間なく人が来ていました。

 

道路には、こんな標識が随所にありました。 


すぐ近くに、かつての道の駅「高田松原」が

あります。ここも震災で被害を受けたときのまま、

遺構として残されています。

追悼施設もありました。

復興まちづくり「情報館」のおじさんに話を聞くと、

ここはつい最近まで、ほとんど訪れる人が

いなかったとのこと。

すべて流されてしまったので、地元の人以外は、

ここに何があったのかわからない。

もとの町の姿を知らないから、どれほどの被害が

あったのか理解してもらえないのだそうです。

 

その言葉は、胸にズシリときました。

私も、見えるものしか見ていなかったからです。

伝えること、感じ取ること、

これらはかくも難しい。

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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